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2012年01月22日 (日)
◇◇◇大魔王の国
そこは島国だった。
岩礁は高いところは高く、船で乗り付けられそうな浅瀬もあり、温暖で寒暖な雰囲気の場所だった。
何でも話では人口が一億2千万人とかで、ゴミの国の何倍になるのか比べようもない大きさだった。
建物や街に行き交う人もどこか垢抜けていて、ゴミの国が本当にゴミ屑だったことがよくわかった。
だが、この国は一見して平和らしいのだが問題があるらしい。
「消費税の増税を許すな!」
「マニフェストを守れ!」
「原発反対!」
「輸出入の関税撤廃反対!」
と、街中ではみんなが横断幕を掲げて、練り歩きながらお祭りをしている。
ボクはその人たちの邪魔にならないようにキャリッド(Carried 運搬するもの。特に2輪のバイク)を手押しで歩き見ていると、キャリッド兼相棒のヘルメス(神の使いで伝令役だとか)がうずうずしだした。
「ねぇ、あれって何なんですか?」
「あぁ、旅人(様々な目的で旅行をしている人の総称)さんですね。あれは抗議運動ですよ。この前、戦争を起こしてまでして君主が変わったのに全然国が良くならないのです。ちょうど1年ぐらいなるのにさっぱりダメです。今回こそ大丈夫だと思ってみんなが投票したのに……」
「はぁ、大変ですね。みんなで反対運動をやればよくなるものなの?」
と、ヘルメスが意地悪そうに聞いてきた。なんか炎上しそうな予感。
「そりゃ、よくなると思ってやらないとやる気も出ませんって。この前の弱腰外交なんて知ってますか? 炭素排出権取引でよその国の何倍も頑張ってるのに、よその頑張ってない国にダメ出しされて言いくるめられちゃうんだからへそが茶を沸かしちゃいますよ。大体政府は……」
「あぁ、すいませんボクはこっちに用があるのでそれでは……」
と、話が長くなりそうだったので後にした。
「大変な国だね、ナオ」
「そうだね、ヘルメス。まぁ、どこの国も似たようなもので大変さ。ボクも1年前は大変だったし」
「そうだったの、ナオ?」
「それは――」
と、言い掛けたときに、無線や警防やパーシスター(Persister 押し通すもの。銃器全般を表す名称)で武装した物々しい青色をベースとした警備服を着た男の2人組みがやってきた。
 なにやら話をしている様子だ。
「本部から発砲の許可出てますか?」
「いや、まだデモが小さいうちは何もしなくていいそうだ」
「なにやら大変そうですね」
と、またもやヘルメスが2人に横槍を入れて、話が炎上の予感。
「あっ、君は旅人さん? それとキャリッドくんか。そうなんだよ。まったく。せっかく君主が変わったのに平和にならないっていつもの一点張りで、ほとほと困っているんだよ。どうせ君主が変わったからって最初だけ期待されて、一ヶ月もしないうちに文句のヒルを言われて、また新たな勇者かなんかみたいなのが出て来て旧政府を亡き者にして新しい政府を作るって堂々巡りで……。僕ら末端はそのたびにいい迷惑なんだよ」
「そういう割には結構良い待遇なん……?」
と、さらにヘルメスが横槍を入れそうになったので、慌ててナオはヘルメスを止めた。
その変わりにナオは誰かが言っていたらしい言葉で気になったもの聞いてみた。
「ここは大魔王の国で、国民と国外から集中砲火を受けていて、危なくなったら勇者出現で魔王総辞職。そして、ちょっと経ったら勇者に悪いいちゃもんがついて、激怒した勇者は魔王化しちゃって、てんてこまいで、次なる勇者出現のいたちごっこだって誰かが言ってましたが誰かが」
「あぁ、それな。半分正解で半分は嘘さ。実際のところは内々で上手く勇者と大魔王が入れ替わるように根回しされてるのさ。国内と国外から見たら『頭丸めてきたんで許してください。すみません!』ってやってるようなもんだぜ」
「はは、まったく。それでこの国も今まで持ちこたえたもんだぜ。歴史上で一度も侵略されたことないってのがすげぇもんでよ」
「だよな。俺たちからみたらありえねぇって話でだな、ははっ」
「そうですか、色々ありがとうございます」
「このバカ騒ぎが気にならないならここは住みやすい町だぜ、旅人さん」
「うーん、ちょっと色々見て考えて見ます」
「そうかそうか。デモが暴動になったら近づいちゃならないぜ。発砲の許可下りるんで人が死ぬかもしれないから」
そういって、警備服の二人組みはデモ隊のほうへ行った。
「どうするナオ? この国に永住する気になった?」
「いや、2、3日くらいなら滞在してもよさそうだけどすぐ飽きそうだ。もっといい国がきっとあるはずだよ、きっと」
そういうと、適当に観光名所を見たり、人と話して3日ほど時間を潰してから国を出た。
国を出るときに『預かり』になっていた、パーシスター2丁と、パスポート(新しく申請したもの)を持って出た。
――3日目の夜。
次の国を目指すために船に乗っている時に、ヘルメスが聞いてきた。
「そういえば、大魔王の国になんてなんで行ったの?」
「さぁ、一番近くて、パスポート(身分証明書)を作りやすかったからじゃない?」
と、世界地図も手にいれたし、行く場所いくらでもある。
「次はどこに行きたいヘルメス?」
「燃料のおいしいところがいいなー」
「ボクは静かなところに行きたいよ」
そういって夜が更けていった。

2012年01月22日 (日)
◇◇◇ゴミ溜めの国B
 ――ここはゴミの国というらしい。
 ありとあらゆるゴミが集まる場所らしい。
 壊れた機械や何かの破片、何かの雑誌や何かの残飯らしい。
 ――そして、壊れた人が集まる吹き溜まりらしい。
 鍵と記号で管理され、指差されて己を見るような場所らしい。
 その中のあるゴミがつぶやく。
 わずか1年で価値観が180度回転した。
 あのまま上手く行ってさえいれば、こんなところに来ることはなかったらしい。
 周囲を鍵で管理されたこんな場所などにくることはなかったらしい。
 ゴミ同士がバカを言い合い喧嘩をするような場所に来ることはなかったらしい。
 ゴミが言うことは相手にされず、ゴミがすることは咎められず、ゴミの安息は自分で守るしかないらしい。
 あるゴミは疑問した。
 ――あの1年さえなかったら。
 世界はどんな風に見えていただろうか……?
 そうすれば私はゴミの話を聞かずに済んだのだろうか。
 こんなところで一生を棒に振って、誰かの慰み者になって枕を濡らす運命を変えられるのだろうか。
 もっとまっとうな、いや、せめて普通の人生を過ごすことができるのだろうか。
 「らしい」、「だろうか」の疑問に疑問し、疑問文で返る思考経路。
 しかし、あるゴミは疑問だけでなく行動に出るらしい。
 だから、真似をした。
 この国から出て正しくあるべき生を得るために真似をした。
 一度思い立つと待てが効かないことを己が性分として知っている。
 だから、手ごろなゴミを探した。
 そして、手ごろなゴミ同士を見つけて組み合わせてある形とした。
 それは合計3つのもの。
 ――まずは2丁のパーシスター(Persister 押し通すもの。銃器全般を表す名称)。
 片方は6連式のリボルバー。もう一方は命中精度の高そうな24連式オートマチック。
 ――そして、1個のキャリッド(Carried 運搬するもの。特に2輪のバイク)だ。
 さぁ、このゴミ溜めから抜け出そう。
 邪魔する奴は隠れ潜んで知らん振りで、邪魔なものは破壊しよう。
 盛大に静かに、可笑しく、今までのお礼をリボンをつけて旅立とう。
 平和ボケした看守はあっという間にあの世逝きになっていた。
 平和ボケした隣人たちもあっという間にあの世逝きになっていた。
 誰かが去った道筋は何もが既に終わった後で静寂が呼んでいる。
 静かな幕開け。
 明るい夜明け。

「何事もない唯のいつも通り静かな一日だった」
 非常におとなしい人物ナオの旅立ちの日だった。
 と、キャリッドこと私ヘルメスは後に語ることになるのかもしれない。
2012年01月22日 (日)
◆◆◆ゴミ溜めの国A
 ――ここはゴミの国。
 ありとあらゆるゴミが集まる場所。
 壊れた機械や何かの破片、何かの雑誌や何かの残飯。
 ――そして、壊れた人が集まる吹き溜まり。
 鍵と記号で管理され、指差されて己を見るような場所。
 その中のあるゴミがつぶやく。
 わずか1年で価値観が180度回転した。
 あのまま上手く行ってさえいれば、こんなところに来ることはなかった。
 周囲を鍵で管理されたこんな場所などにくることはなかった。
 ゴミ同士がバカを言い合い喧嘩をするような場所に来ることはなかった。
 ゴミが言うことは相手にされず、ゴミがすることは咎められず、ゴミの安息は自分で守るしかない。
 あるゴミは疑問した。
 ――あの1年さえなかったら。
 世界はどんな風に見えていただろうか……?
 今より素敵だろうか? それともより複雑怪奇な出来損ないだろうか?
 一度思い立つと待てが効かないことを己が性分として知っている。
 だから、手ごろなゴミを探した。
 そして、手ごろなゴミ同士を見つけて組み合わせてある形とした。
 それは合計3つのもの。
 ――まずは2丁のパーシスター(Persister 押し通すもの。銃器全般を表す名称)。
 片方は6連式のリボルバー。もう一方はばら撒き型の機関銃。
 ――そして、1個のキャリッド(Carried 運搬するもの。特に2輪のバイク)だ。
 さぁ、このゴミ溜めから抜け出そう。
 邪魔する奴は蹴散らして、邪魔なものは破壊しよう。
 盛大に騒ぎ立てて、五月蝿く可笑しく、今までのお礼をリボンをつけて旅立とう。
 平和ボケした看守はあっという間にあの世逝き。
 平和ボケした隣人たちもあっという間にあの世逝き。
 今更鳴った警報機も、射撃し連射のコンボを奏でよう。

 あっさりとした幕開け。
 まったりとした夜明け。

「何事もない唯のいつも通り賑やかな一日だった」
 非常に賑やかな人物オノの旅立ちの日だった。
 と、キャリッドこと私ギブソンは後に語ることになるのかもしれない。
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